「性暴力のない社会」をめざす会は、2022年5月13日に富山地方裁判所で出された性暴力事件の無罪判決を受けて、支援団体や医師、弁護士などの有志が集まり不当判決に抗議するために立ち上がりました。
性暴力の被害者が泣き寝入りしなければならない現実を変えようと、まさに今、力を結集しています。
「強制性交等致傷罪」に問われた男性は、無罪判決を受けて以下のように述べました。
「罪に問われるようなことはしていない。検察がしっかりしていたら裁判にはなっていなかった。性犯罪は許せないし、性被害者の支援は大切だが、被害者側の声に耳を傾けすぎるとこうなる」
性暴力の被害者は恐怖と混乱の中で身体が固まり声もあげられず、意識がなくなってしまう場合さえあります。また、性被害の重要な部分を思い出せなかったり、感情が麻痺したりすることは通常おこりうることも知られています。
「性的暴行を受ける中、逃げない・助けを呼ばないのは合理的ではない」といった論拠は被害者の心理と言動の知見を無視したものであり、いずれの行動も十分に合理的と言えます。そして、被害者は事件後も「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」に長く苦しむことになります。
「そこに行って寝たんでしょう」「そこに行ったんでしょう」ということだけで性的行為に同意していると判断される。こういった社会通念は、全く間違ったものです。この判決は、広く存在する”被害者が悪い”という無意識の先入観をあぶり出しました。
さらに、選ばれた裁判員6人のうち5人が男性であり、そのうち3人は若年層と見受けられました。この裁判員の構成には、偏りが見られます。裁判員裁判は”一般の感覚”を取り入れるために行われます。これらの背景がありながら、果たして本来の目的に適う公正な裁判であったと言えるでしょうか?
今回の判決は、性暴力に対する誤った理解に基づいた残念なものです。相手とどのような関係や状況でも性的行為の強要は決して許されないこと、責任は加害者にあるという理解が広がり、「性的同意」が常識となる社会が裁判においても実現するよう求めます。
近年、無罪判決となった性犯罪4件のうち3件が控訴審にて有罪となりました。性暴力の正しい理解に基づく審理がなされるよう、司法の場でも変化がみられます。
何の落ち度もない被害者が自責の念に駆られ続ける未来を変えるため、私たちは「同意のない性的行為」が適切に罰せられるよう求めて行きます。世論を変え、判決を変え、「性暴力のない社会」をめざして行きます。
事務局メンバーMembers
木村 なぎ
小林 涼子
黒田 けい
坂林 加奈子
岸 順子
亀田 紀子
平田 結子